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店舗の立ち退き(1)-立ち退きの要否

ビルの一階を賃借して、喫茶店を経営しているのですが、先日、賃貸人から「ビルを建て替えて自社ビルとして使いたいので、賃料半年分と引き換えに明渡してほしい」と言われました。
私としては、15年近く営業を行いお客様もついたことなので、できれば立ち退きたくはないです。この場合、立ち退きを拒むことはできるのですか
賃貸期間の満了の際に更新を拒絶して立ち退きを求める場合、または賃貸期間の定めがなく解約申入れをして立ち退きを求める場合には、賃貸人、賃借人が当該物件を利用する必要性の程度を比較して、「正当事由」が認められる必要があります。
その際に、賃料の支払い状況等の経緯、建物の老朽化の程度、立ち退き料の支払い等の事情を考慮するとされています。

この賃貸人、賃借人の利用の必要性を比較する際には、賃借人が当該物件を営業用として利用しているか、居住用として利用している かにより、賃借人の利用の必要性に差が出てきます。

一般論ですが、賃借人が当該物件を居住用として利用している場合には、賃借人の利用の必要性が認められやすくなり、一方営業用として利用している場合には、居住用と比較して、賃借人の利用の必要性は絶対的なものではなく、立ち退き料の額の問題に解消される傾向があります。

質問の事例

賃貸人の利用の必要性は、自社ビルとして利用するという自己使用目的と、老朽化したビルを建て直し土地を効率的に利用するという 目的があります。
一方、賃借人の利用の必要性は、当該店舗の立地条件および長年利用してきたことにより獲得した顧客を前提として、営業を継続し 安定的に収益を挙げること、及び長年利用してきたことによる使い勝手の良さ等があります。

賃貸人、賃借人の利用の必要性は、両者とも一定の理由があるものであり、一概にどちらか一方の必要性が勝っているとはいうことが できません。
ただ、喫茶店の経営が唯一生業的なものである場合には、賃借人の必要性は大きくなります。

そのため、賃貸人が立ち退き料の支払いをすることなく「正当事由」が認められることは、ほとんどないですが、賃借人が店舗として 利用している場合は、一般的に営業用として利用している場合といえ、賃借人が被る不利益は、立ち退き料の支払いにより補填される 性質のものといえるため、立ち退き料の額によって「正当事由」が認められるか決まる傾向にあります。

もっとも、長年営業を継続してきたことから、顧客がつき経営も安定しているため、提示された立退き料では立退きたくない場合には、立退きを拒むことも何ら問題ありません。

この場合、最終的には賃貸人が裁判で立ち退きを請求してくる可能性もあります。
賃借人としては、裁判で当該店舗を利用する必要性を主張し、提示された立ち退き料では、「正当事由」が認められないことを立証 することにより立退きを拒むことになります。

また、賃貸人によっては、裁判費用等の節約のため、裁判をせず、立ち退き請求をあきらめる場合もあります。

ただ、仮に裁判になった場合には、当該物件の老朽化の程度、近隣の現在と同条件の店舗を新たに借りることの容易さ、現在の店舗との立地条件の差等を考慮し、店舗の移転費用(引っ越し・保証金等)、営業損害の補填等を考慮した相当額の立ち退き料の支払いを条件として、「正当事由」が認められてしまい、結果的には立ち退かなければならない可能性もあります。

そのため、裁判費用、裁判にかかる時間、裁判手続きに伴う煩わしさ等を考慮して、店舗の移転費用、立地条件・ 休業期間の営業損害を補填するに足りる立ち退き料の支払い、および移転に要する期間の猶予を条件に、合意書を 作成のうえ、裁判前に立ち退きの合意をすることも一つの方法と考えられます。

したがって、裁判費用、裁判にかかる時間、裁判手続きに伴う煩わしさ等を回避できる点、および立ち退きのために 必要な期間の猶予を話し合いにより設定できるという、裁判外で立ち退きの合意をするメリットと、店舗を移転すること で顧客を失うかもしれないというデメリットを比較しながら、仮に裁判になった場合に、結果的に立ち退かなければなら なくなるかを、弁護士と相談しながら、立ち退き料と引換えに、立ち退きに応じるべきかを決めるべきでしょう。

弁護士に依頼する方法

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